ウズベキスタン観光の見どころと言えば、やはりドームやミナレットを持ち、美しい青いタイルで装飾されたイスラム建築群です。サマルカンドが有名ですが、タシケントにもサマルカンドとは違った魅力のあるモスクやマドラサ(メドレセ)があります。
タシケントの街は歴史的に破壊と再建を繰り返してきました。そのため古い建築物があまり残っていません。しかし再建する過程で過去を踏襲するものと共に斬新的な建築物もでき、魅力あるものとなっています。
タシケントのモスク
モスクはイスラム教の礼拝堂です。イスラム教では偶像崇拝を禁じているので、仏教の仏像のように神や聖者の像を置いたり描かれたりすることは一部を除いてありません。そのためモスクは崇拝の対象ではなく、あくまでお祈りをする場所という位置づけになっています。
ハズラティ・イマームモスク(Khazrati Imom Maszhidi)
タシケントの旧市街、ハズラティ・イマーム広場に立つモスク。2007年に改築された建物ですが、16世紀の建築様式が保たれています。モスクに電光掲示板は驚きましたが、最近では多いようでお祈りの時間を表示しています。
ひときわ木彫の素晴らしさが目を引くモスクです。
ティリアシェイクモスク(Tillya Sheikh Mosque)
ティリアシェイクモスクはハズラティ・イマームモスクの建つハズラティイマーム広場の一角にあります。2007年に改装されたモスクですが、元のモスクの本館は1902年に国の建築様式で建てられました。
パターン化された開口部のデザインが目を引くモスク。ティリアシェイクモスクは、商人のティリアシェイクにちなんで名づけられたモスクで、当時財を成していた敬虔なイスラム教徒のティリアシェイクがタシケントのイスラム教徒のために贈ったモスクです。
マイナーモスク(ミノルモスク・Minor Mosque)
マイナーモスク(ミノルモスク)は2014年に完成した新しいモスクで、古いレンガ造りのモスクと違って白い大理石で仕上げられた外観に目を奪われます。
アンホール運河沿いの整備の一環としてイスラムカリモフ大統領がマイナー地区にモスク建設を指示し、国家予算とウズベキスタンのイスラム教委員会の資金によって建てられました。現在ではタシケントの中心的なモスクの一つになっています。
ライトアップされたマイナーモスクは、暗闇の中に白さが一層際立ち美しさを増します。
ジュマモスク(Dzhuma Mosque)
ジュマモスクはKhoja Ahror Valiyモスクとも呼ばれ、イスラム教の休日である金曜日に礼拝が行なわれるモスクです。ジュマとは金曜の意味。イスラム教は毎日お祈りしますが、金曜日の昼はモスクで集団礼拝をする特別な日とされています。
あいにくの曇り空ですが、晴れていたらきれいな青空とターコイズブルーの3つのドームとで非常にきれいな景観です。
ドーム内側のデザインもそれぞれ異なり、光の加減で色彩の見え方が変化して素敵です。
イロンオタモスク(ilon ota masjidi)
イロンオタモスク(ilon ota masjidi)はタシケント市の中心からは少し離れたところにある比較的大きなモスクで、金曜礼拝には多くの人が集まります。
金曜礼拝の時の様子。
ウズベキスタンのイスラム教委員会もイロンオタモスクに置かれています。
モスクの内部は細かい装飾が施されています。偶像崇拝が禁じられているため、装飾は幾何学模様のようなものだけです。
マドラサ(メドレセ)
マドラサはイスラムの宗教教育専門機関。モスクに併設されることも多く、ウラマー(イスラム法学者)やイマーム(指導者)になるための教育を受けることができます。マドラサとメドレセは同じ意味です。
クケルダシュマドラサ(Kukeldash Madrasah)
クケルダシュマドラサはタシケント大地震を生き延びた数少ない宗教建築物の一つです。大きなポータル(入り口のアーチ)と中庭がある造りはマドラサの伝統的な仕様です。
クケルダシュマドラサが最初に建てられたのは16世紀で、長い歴史の中で神学校としての役割だけでなく、要塞や処刑場、キャラバンサライ(隊商宿)としても活用されてきました。
タシケントの旧市街にあり、ジュマモスクやチョルスーバザールと一緒に観光できます。
バラク・ハーン・メドレセ(Barakhan Madrasah)
ハズラティイマーム広場に建つバラク・ハーン・メドレセ。マドラサとしては珍しい1階建ての神学校です。旧ソ連時代は中央アジアのイスラム本庁が置かれていましたが、現在は各国に本庁が置かれウズベキスタンの本庁としての役割を担っています。
ポータルのアーチは大きて美しく、間近で見ると圧倒されます。
広々とした中庭。
中庭で絵やお土産などを販売している人たちが多くいて意外でした。
ムイムバラクマドラサ(Muyi Muborak Madrasah)
こちらもハズラティイマーム広場にあるムイムバラクマドラサ。ドーム一つの小さなマドラサで、現在は博物館(図書館)として機能しています。7世紀に書かれたオスマン・コーランの写本が展示されていることで有名で、30以上の言語で翻訳されたコーランなども収蔵しています。
霊廟(れいびょう・Mausoleum)
霊廟は特定の人物が祀られている場所を意味します。ウズベキスタンには多くの霊廟があり、歴史的人物を祀っています。日本でいうところの古墳のような偉人のお墓です。
カファルシャシ霊廟(Kaffal Shashi Mausoleum)
ハズラティイマーム広場のはずれにあるカファルシャシ霊廟。カファルシャシはコーランの専門家で、イスラム教と宗教教育を広めることに人生を費やした人物です。
カファルシャシのお墓のほか、信者や学生も一緒に葬られています。女性は長袖シャツと丈の長いスカートや長ズボンなど、訪れる際は服装に注意してください。
モスク・マドラサ・霊廟などを見学する際の注意点
モスク・マドラサ・霊廟などを見学する際は、イスラム教とムスリム(イスラム教信者)の方々に敬意を払いましょう。また、むやみに設備等に触れないことも大切です。一番注意しなければならないのは服装です。
男性の服装
男性の服装のポイントは、肩や膝を隠すこと。タンクトップや短パンは禁止です。
女性の服装
顔や首と手首から先、足首から先を除き肌の露出は禁止です。また、体のラインが出る服装も禁止です。髪は前髪を含めすべて隠す必要があリます。ピッタリとしたTシャツやスリムなパンツも体のラインが出る服装とみなされるので注意してください。