タシケント

ウズベキスタン観光の定番といえば、青をアクセントとした荘厳なイスラム建築かもしれません。シルクロードのオアシスと呼ばれていることから平坦な砂漠地帯をイメージする人も多いと思います。

しかし、ウズベキスタンのそんなイメージを払拭するのが中央アジア最大の都市タシケントです。

タシケントは過去の戦争や地震被害によって壊滅的なダメージを受けたため、他の都市より歴史的建築物などは多く残っていません。その代わりに街が近代的な発展を遂げています。

ウズベキスタンの首都でもあるタシケントは、他の都市とは違ったウズベキスタンの魅力が詰まっています。現在進行形で開発が進められているため新しい観光スポットも誕生しているので、タシケントの定番から新名所まで網羅していきます。

タシケント地下鉄の駅は美術館

地下鉄

タシケントの観光スポットを案内するのに、一番最初が地下鉄の駅というのもどうかと思いますが、タシケント市内のほぼ全域を地下鉄がカヴァーしているので、タシケント観光には欠かせない足になります。お値段どこまで行っても1,400スム(約14円)。

それぞれの駅を巨匠たちが競ってデザインしているので、すべての駅で違った趣があり、移動の足として利用するだけで美術館巡りをしているかのような気になります。

アリッシャー・ナヴォイ(Alisher Navoi)駅は、豪華絢爛な装飾で世界的に有名です。

アミール・ティムール広場

アミール・ティムール広場

ウズベキスタンの英雄ティムールの騎馬像が公園中央に配されているアミール・ティムール広場。この像以外は緑豊かな公園といった印象ですが、大きなティムールの騎馬像を見て「ウズベキスタンに来たな」と実感する観光客もいるほど有名です。アミールというのは長や司令官といった称号を意味しています。

タシケントでは騎馬像ですが、サマルカンドでは玉座に座ったアミール・ティムール像を見ることができます。

アミール・ティムール博物館

アミール・ティムール博物館

ウズベキスタンらしい青いドームが特徴のアミール・ティムール博物館。豪華な内装も有名です。主にティムール朝に関する展示がされていますが、親日家だったウズベキスタンのカリモフ大統領に関する展示もされています。

ブロードウェイ (サイールゴフ通り)

ブロードウェイ

アミール・ティムール広場から西に延びているサイールゴフ通り、通称ブロードウェイ。売店の立ち並ぶにぎやかな通りです。シャシリクやサムサといったウズベキスタンらしいものからハンバーガーやピザといった欧米色の強い食べ物まで売ってます。

三輪車やバギーが置かれていたり、日本のデパートの屋上にあったような遊具や大型のエアー遊具なども設置されているので、子供も楽しめる現地の憩いの場として親しまれている場所です。

ナヴォイ・オペラ・バレエ劇場

ナヴォイ劇場

正式名称アリシェル・ナヴォイ記念国立アカデミー大劇場。バレエとオペラのための劇場でタイミングが良ければ観劇できます。

ナヴォイ劇場は、第2次世界大戦で旧ソ連軍の捕虜となった日本兵が建設に貢献し、その献身的な働きぶりはウズベキスタンでも語り草になっていて、建設にかかわった日本兵を称えた石板がナヴォイ劇場に掲げられています。

ウズベキスタン国立歴史博物館

ウズベキスタン国立歴史博物館

ウズベキスタン国立歴史博物館は、建物自体が20世紀後半のウズベック建築最高の記念碑とも言われ、石器時代から現代までの歴史遺産が展示されています。

保存状態の良いガンダーラ仏像や民族衣装、貨幣などなど約1万点の歴史的展示物が見学できます。

独立広場

独立広場

独立広場は、独立記念碑などいくつかのモニュメントと噴水や花壇のある広い公園です。周囲は特徴的な公共の建物が取り囲んでいて、特別な祝日にはお祝いや軍事パレードが行われます。

銀のコウノトリが印象的なアーチ、ウズベキスタンしか描かれていない金の地球儀の前に赤ちゃんを抱いた母親が座る独立記念碑、世界大戦で倒れた兵士を追悼して悲しげに永遠の炎を見下ろす母親の第二次世界大戦記念碑などを見ることができます。

タシケントシティパーク

タシケントシティパーク

タシケント市のほぼ中央にあるタシケントシティパーク。東京ドーム4個分という広さの公園には、豊かな緑と噴水、スポーツグランドなどが整備されていて、レストランや売店もあり野外イベントなども行われます。

プラネタリウムやフライングシアターなどのアトラクション施設もありますし、夜には光と音楽に合わせて水が躍る噴水ショーも行われる近代的な公園で、ウズベキスタンにいることを忘れてしまいそうな公園です。

マジックシティ(Magic City)

マジックシティ

マジックシティは2021年6月1日ウズベキスタンのこどもの日に合わせてオープンしました。ディズニーランドを思わせるお城や屋内遊園地、映画館、ボウリング場、中央アジア最大級の水族館、キッザニアのような子供向け専門職学校など、様々な施設が集結したアミューズメントパークです。

どちらかというと巨大なショッピングモールといったところ。観光でというよりは近所にあったら嬉しい施設ながら、非日常を感じられるタシケントの新名所です。タシケント市の中心部にあって入場は無料なので、気軽に立ち寄ってみてください。

抑圧犠牲者の博物館

タシュケントテレビ塔の前にある外観の美しい博物館。展示内容は政治的抑圧を受けた人々の写真や資料なのですが、青いドームのあるウズベキスタンの伝統的な建築美や円形の屋根を8本の支柱で支えたロタンダの景観の美しさから、結婚式の記念写真を撮りに来るほど人気の撮影スポットになっています。

タシケントタワー

タシケントタワー

タシケントタワーは高さ375メートルのテレビ塔でタシケントのランドマーク的存在。東京タワーが高さ333メートルなのでタシケントタワーの方が少し高く、中央アジアで最も高い構造物です。

地上100メートルに展望フロアがあり、その上には45分で1回転する展望レストランもあります。高い建物がほとんどないのでタシケントの街を一望できます。

プロフセンター

プロフセンター

プロフセンターはウズベキスタンの代表的伝統料理「プロフ」の専門店です。プロフはウズベキスタン風のピラフで、お米や肉、にんじん、豆、レーズンなどを大量の油で炒め、塩と香辛料で味付けしたもの。

カザンと呼ばれる巨大な鍋で大人数分を一気に作るところを間近で見ることができるのもプロフセンターのいいところです。客席は広いのですが、いつもいっぱいになるほどの大人気店。

日本庭園(Japanese garden)

日本庭園

テレビ塔近くの展示ゾーンにある日本庭園。本格的とはいきませんが、ウズベキスタンの人がイメージする日本を感じさせる庭園になっています。カモやクジャク、運が良ければコウノトリなども見ることができます。

近くにはウォーターパークやタシケントランド(遊園地)もあり、タシケントランドの立ち乗りリフトに乗ると、日本庭園を上空から眺めることもできます。

マイナーモスク(ミノルモスク・Minor Mosque)

ミノル・モスク

ミノル・モスク(Minor Mosque)は2014年に完成した比較的新しいモスクです。白い大理石で仕上げられた外観は、古いレンガのモスクとは違った趣で目を引き、青いドームと2本のミナレット(塔)が壮大さを引き立てています。

夕暮れ時や夜間にライトアップされたミノル・モスクは、白さが一層引き立ち格段に美しさを増します。

鉄道技術博物館

鉄道技術博物館

鉄道技術博物館はウズベキスタン唯一の鉄道博物館。中央アジアの鉄道100周年を記念して1989年にオープンしました。

13台の蒸気機関車、18台のディーゼル機関車、3台の電気機関車の実物のほか、エンブレムや信号機、当時の制服など鉄道関連のあらゆるものが多数展示されています。

世界的にも評価の高い鉄道博物館で、日本の鉄道とは違った魅力を放つ機関車の数々は、鉄道ファンのみならず心躍らせるはずです。

ウズベキスタン国立美術館

ウズベキスタン国立美術館は、ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世が個人所有していた美術品などをベースに設立された美術館で、主に15~18世紀の美術品を多く展示しています。

現在では世界各国の美術品も集められ、日本をはじめとする東洋の美術品も含め約50,000点もの美術品が展示されています。

ウズベキスタン国立応用美術館(ウズベキスタン工芸博物館

ウズベキスタン国立応用美術館

ウズベキスタン国立応用美術館は、ウズベキスタンの伝統的な民芸品や工芸品を収蔵する美術館。スザニに代表される刺繡工芸、木彫りの彫刻、宝石など、伝統的に優れた装飾技術をもつウズベキスタンならではの作品を見ることができます。

展示品もさることながらロシア行使の私邸だったという建物自体の内装が素晴らしく、美術館全体がまるごと工芸品のようで楽しめます。

ビクトリーパーク(G’ALABA BOG’I ガラバボギ)

ビクトリーパーク

ビクトリーパークは第二次世界大戦の戦勝75周年を記念して2020年に開設されたメモリアルパークです。

野外エリアには戦車や戦闘機、そのほかの軍事兵器、塹壕を再現したものや記念碑などが展示されています。

博物館には当時を再現した大掛かりな展示がされていたり、パネルや映像によって戦時の様子を伝える展示、銃器や刀剣類などの携行品等々、かなり充実した展示内容になっています。

ウズベキスタンらしいイスラム建築群(ハズラットイマームコンプレックス)

バラク・ハーン・メドレセ

多くはありませんがタシケントでも古き良きイスラム建築美を見ることができます。

  • バラク・ハーン・メドレセ(Barak-Khan Madrassah)
  • ハズラティ・イマームモスク(Hazrati Imam Mosque)
  • ティリアシェイクモスク(Tillya Sheikh Mosque)
  • ムイムバラクマドラサ(Muyi Muborak Madrasah)
  • カファルシャシ霊廟(Kaffal Shashi Mausoleum)

この5つはまとまった場所、ハズラットイマームコンプレックスにあるので観光に便利。青いドームやミナレット、伝統的な装飾美も見逃せません。

チョルスー・バザール

チョルスー・バザール

ウズベキスタンの各地にバザールはありますが、その中でも最大のバザール。ドーム状の建物の中だけではなく周辺にもたくさんの露店があり、あらゆるものが販売されています。

ウズベキスタンの文化を知るために見て回るだけでも楽しいですし、思わぬお土産を発見できるかもしれません。

ブニョドコルスタジアム

ブニョドコルスタジアム

タシケントの球技専用スタジアム。サッカーウズベクリーグ「ブニョドコル」のホームスタジアムで、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)などの国際試合も行われます。

収容人数34,000人でウズベキスタン代表のホームスタジアムにもなっています。

ヒューモアイスドーム(Humo Arena)

ヒューモアイスドーム

ウズベキスタン初のアイスアリーナ。アイスホッケーやフィギュアスケートなど様々なアイススポーツが行われるほか、フットサルやバレーボールなど他のスポーツでも利用されています。

タシケントのジュマモスクKhoja AhrorValiy(コラヴァリ)

ジュマモスク

タシケントのジュマモスクとして知られているコラヴァリモスク。ジュマとは金曜日のことで、イスラム教の休日に当たる金曜日に礼拝が行われるモスク。

タシケントのジュマモスクは破壊と復元を繰り返され、現在では3つのドームを備えたモダンなスタイルで装飾されたユニークなタイプのモスク。

クケルダシュマドラサ

クケルダシュマドラサ

クケルダシュマドラサは、中央アジアに保存されている16世紀最大のマドラサ(神学校)の1つです。

伝統的なスタイルで焼かれた黄色いレンガで建てられ、大きな入り口と広い中庭のあるマドラサの典型的な造りをしています。現在でもマドラサの役割をはたしていて、ここで学んだ学生たちが各地のモスクで活躍しています。

タシケント観光は1日じゃもったいない

カリモフ博物館

ウズベキスタン国際空港があり空の玄関口になっているタシケントですが、ウズベキスタン観光といえばサマルカンドやブハラといった美しいイスラム建築の旧跡を巡る旅がメインになり、タシケントには時間調整や最終日に1日だけといったスケジュールになってしまうことが多いかもしれません。

しかし、タシケントにも一味違った魅力がたくさんあります。特に急速に経済的にも観光的にも発展を遂げているウズベキスタンを象徴する街なので新名所も次々に誕生していますし、ほかの都市とのギャップを感じられるのもいいところです。

コンパクトで交通網が発展していて観光にも便利な街ではありますが、1日だけではさすがに慌ただしいので2日くらいかけてゆっくり見どころを観光してみてください。